「位牌」処分のタイミングは?その方法と注意すべきポイントについて
今回は、位牌を処分するタイミングや処分の方法、又処分の時に注意すべきポイントについて解説します。大切なお位牌を、きちんとしたルールでスッキリと処分ができるように、ご自分の事情に合った方法をご検討下さい。
目次
1.位牌が処分されるタイミングについて
1-1 位牌の引越しのとき
1-2 承継者不在でこれからの管理が心配になったとき
1-3 位牌が古くなったとき、こわれたとき
2.位牌を処分する方法と依頼先
2-1 お焚き上げによる処分
2-2 永代供養による処分
3.位牌の処分をお寺以外にお願いしても大丈夫?
3-1 処分はどこに依頼する?
3-2 処分にかかる費用は?
4.位牌の処分時に注意するべきこと
5.まとめ
1.位牌が処分されるタイミングについて
位牌は仏壇の中に安置され、代々の家系のご先祖様や故人の魂が宿る対象としてずっと大切に祀られていくものです。そのように受け継がれていく大切なものですから処分されるような機会は少なく、処分の方法やタイミングについても良くわかりません。近年の社会背景や伴う生活環境、住環境の変化によって仏壇や位牌を処分を検討せざる負えない事情を持つ方が増えています。本篇で位牌を処分する時期や方法について検討の参考にしてください。
1-1.位牌の引越しのとき
自宅を引っ越す場合、仏壇ごと位牌も引っ越しますが、まれに仏壇が部屋に入らないあるいは都会への異動で住環境が極端に狭くなり仏壇を手放さざるおえないようなケースがあります。一般的には仏壇を残して位牌だけを移動するのですが、仏壇を処分することになるとそのタイミングで位牌も一緒に供養して処分することが良くあります。将来子供たちがどのように供養を受け継いでいくのかを考えて、全体を整理する良いタイミングなのだと思います。
1-2.承継者不在でこれからの管理が心配になったとき
子供がいない、あるいは女の子で嫁いでしまう、などの理由で位牌などの祭祀承継ができないケースがあります。少子化や核家族化の傾向から墓じまいや仏壇じまいも増加傾向ですが位牌の処分は手元に残しやすいからか一番最後の処分になったりします。位牌は通常、個別の形からご先祖様と同じ位牌でお祀りする形にかわります。弔い上げといって個別の位牌を処分してご先祖様に含めてお祀りされることになります。
弔い上げをどの時期に行うかは家や宗派によって時期は違いますが一般的には三十三回忌もしくは五十回忌を区切りとして回出位牌(くりだしいはい)にまとめます。そのタイミングで個別の位牌は魂がそこにはいらっしゃいませんから処分します。三十三回忌までの管理が難しい場合は過去帳に戒名を転記して位牌はお寺の永代供養に預けることもあります。お寺が三十三回忌まで供養を行ってくれて、最後はお焚き上げをして処分してくれます。
1-3.位牌が古くなったとき、こわれたとき
四十九日法要を終えたとき白木位牌という仮の位牌は処分します。また経年の劣化で位牌が傷んだり壊れたりすると新しく作り替えることになりますが、その時は古いものは処分します。位牌は魂が入った器のようなものですから、そのものを管理するのではなく魂の入れ物として大切に扱います。つまり新調すれば古いものを捨てるという考え方に魂の入れ替えができていれば問題は有りません。
2.位牌を処分する方法と依頼先
昔と違って位牌の処分方法の選択肢は増えました。お寺にお願いする一般的な方法の他に、サービスとして扱っている業者の出現でお布施という処分にかかる負担も低廉されました。本編にて位牌を処分する方法と依頼先を紹介いたします。
2-1.お焚き上げによる処分
位牌を処分する代表的な方法がお焚き上げです。神社のご祈祷やお寺の読経による供養とともに焼却処分する儀式のことをいいます。焼くことで魂を天に還すという意味があり、モノに魂が宿るという日本古来の考えから思いや不浄なものを炎で浄化するという目的もあります。仏壇に飾ってあった遺影や、ご本尊や掛け軸などもお焚き上げ供養をします。
通常、お焚き上げを行う前に「魂抜き」の儀式も行います。魂抜きとは、位牌に籠められた魂を抜いて信仰の対象からただの木片にする儀式です。宗派やお寺によって「閉眼供養」「お性根抜き」などとも呼ばれます。
ただし、「魂入れ」を行わない宗派もありますので、お寺や位牌を作ったところに確認できれば確実です。しかし分からない場合がほとんどだと思いますので、念のため儀式を行っておくのが無難です。実は魂抜きが不要な位牌であっても儀式を行うことは全く問題ありません。むしろすっきりした気持ちでスタートが切れますのでプラスです。
2-2. お焚き上げを依頼する先
◆菩提寺に依頼する
菩提寺(お寺)に相談します。昨今では檀家離れが進みお寺さんもいろいろ大変と聞きます。ですから位牌処分の供養などの相談にも柔軟に対応してくれるお寺も増えています。まずは検討段階として「処分するとしたらどうすれば良いか?」と聞いておく、というのが良い思います。位牌の閉眼供養と処分はお布施で5千円~1万円くらいが相場です。お寺に持ち込みむと閉眼供養を個別に僧侶が行ってくれます。
◆仏壇屋、仏具店に相談する
お付き合いのある仏壇屋さんにひきとってもらう方法です。仏壇屋さんはお寺と繋がっているのでお寺と連携して供養していただけます。ただし仏壇の買い替えなどの機会以外は有料になることが多いようです。お寺に運んで供養をしてもらえます。
◆供養と処分の専門業者に依頼する
不用品回収業者の処分ではなく供養もセットで引き取ってくれるところがあります。
位牌の処分の相談:さくらサービス東京 https://sakuraservice.net/
さくらサービス東京では合同供養が終わった後に、燃やせる供養の品(位牌、遺影、掛け軸、仏像)だけを提携先のお寺に運んでお焚き上げ供養をしています。
確実にお寺さんでお焚き上げを行っている分、位牌、遺影、掛け軸、仏像などの引き取りと同様に定額料金を頂いておりますが、比較的安価な料金設定で対応しております。是非ご相談くださいませ。
2-3.永代供養による処分
永代供養という形で位牌を処分する方法もあります。永代供養とは、遺骨や位牌をお寺や霊園に預けて供養を一定期間代行してくれて、期限が来ると合祀といって他の魂をともに一緒の場所に供養されるようになる方式のことです。供養を代行してくれる期間はお寺によって異なりますが、決まった時期になると位牌そのものはお焚き上げ供養をして焼却処分されます。
3. 位牌の処分をお寺以外にお願いしても大丈夫?
供養や儀式はお坊さんにしかできない事なので、業者に処分を依頼しても大丈夫なのか心配になります。特に廃棄物収集の業者の中には不法投棄などで問題になっている会社がテレビでよくニュースになっていたりします。位牌の処分を依頼するときに気を付けるところを紹介します。
3-1.処分の依頼先別のメリット、デメリット
前の項目で位牌を処分する際は、お焚き上げの依頼ができるところとして3タイプ紹介しました。これらの依頼先候補のメリットとデメリットを解説します。
●お寺、神社、霊園
メリットは、魂抜きの供養からお焚き上げまで一括して行っていただける安心感です。ただし場所や規模によってはお焚き上げを敷地で行えないケースもあって、必ずしもその寺院内でお焚き上げ供養が行われているとは限りません。デメリットとしてはばらつきがあるものの布施という謝礼金のような性質のものが料金として高めです。相場としては5千円から1万円。位牌は特別に丁寧に行わなければならないものだから、最低でも1万円必要ですと答えるお寺が多い気がします。
料金相場は1柱ごとに10,000~50,000円
●葬儀社、仏具店
メリットは、仏壇仏具を買った関係があれば気軽に相談できて、アフターサービスとして依頼に応えてくれます。ただし仏壇を購入する層が減ってきていて、かつ小型化による価格低下や、供養の多様化の傾向で全体の市場規模は縮小していて、御用聞きのような昔ながらのフットワークの良い景気の良い仏具屋さんは居ません。デメリットとしては取引きのある仏具屋さんなら引き取り処分も安価に扱ってくれますが、初めましてのお客様の場合はお寺よりも高い手数料を乗せた料金を見積もられるケースもあります。取引がある場合のみ相談に行かれると良いと思います。
料金相場は1柱ごとに5,000~30,000円
●専門業者、遺品整理業者
デメリットは多種多様な業者がいてサービスの内容が見えないところです。特に閉眼供養をせずに廃棄したりする業者もいますし、供養するしないをあえて打ち出していないゴミの回収業者が、仏壇、位牌、遺品処分を訴求しているケースが多いです。メリットは価格が安めだというところ。回収のために自宅に取りに来てくれるところです。大切な位牌を供養して処分してもらうために、安心して任せられる業者かどうかを見極める必要があります。
料金相場は1柱ごとに3,000~2,000円
3-2. 位牌の供養と処分を任せられる業者かどうかを見極める方法
供養はお坊さんしかできません。位牌の魂抜きを行っている会社なら必ずどこかのお寺と提携しているはずなので、「どこで供養してもらえますか?」と確認することです。そのうえで数社の見積りを取って供養と処分の合計金額が、納得のいくものかどうかを確認することで信頼できない業者を排除できます。そして「供養証明書」を発行する業者であることと、その会社の印鑑(法人印)だけではなく、供養したお寺の宗教法人の印鑑を押印した供養の通知書ではなく「証明書」が出せることが見極めのポイントになります。
4. 位牌の処分時に注意するべきこと
魂抜きをしてから廃棄することが重要です。なので依頼する先がお寺や業者でも、供養と処分を一括しておこなってくれるかどうかをしっかり確認して選んで下さい。そのほかに
〇家族や親せきに相談する
位牌を管理しているのは祭祀承継者と言われる人で、その人はお墓や仏壇、位牌などに関して先祖代々の供養の管理を継続して行う義務を持っています。相続とおなじように祭祀相続といって権利を受け継ぐことになり、一般的にはそのを行うことが相応しいと認められた子供が任命されます。よってその人は処分の決定権を持っているので、必ずその当人の許可が必要です。自分が承継者でその権利において処分を決めることができるなら、その家族や親族にも相談して理解を取り付けておくことが必要です。故人やご先祖様への想いは人それぞれです。位牌を処分してしまえば帰ってきません。不測のトラブルを避けるためにも自己判断だけで進めず周りの人に相談し、説明し、理解を得てから行動するようにしてください。
5. まとめ
位牌の処分を考えるようになっったら、そのタイミングは今か?だれに依頼すべきか?処分コストはいくらになるか?正しい処分をおこなうことができるか?相談すべきなのに話していない親戚はいないか?の5つのことを頭において、ご先祖様にも喜んでもらえるように、関係者全員の気持ちがスッキリするような位牌の処分を行ってください。