追善供養の種類と目的を解説
追善供養とは亡くなった方に対して、この世に生きている人が善行することで、故人の善行になって、自分にも返ってくるという思想です。善行を行うことで、その行いに対しての徳が故人の成仏を後押しします。そして伝統的な追善供養の行いは、先祖への敬意を示し、故人とのつながりを感じるとともに、家族の絆を強める機会でもあります。追善供養についての知識を得て、その意義を生活に活かしてみてください。
追善供養とはなにか
故人の冥福を祈る儀式や行事は追善供養であり、特に日本の文化や宗教観に深く根付いています。この活動は亡くなった人々の成仏を祈ることが中心にあります。
追善供養は特別なことをするのではなく、故人のために行う儀式の多くが当てはまります。いろいろな場面やタイミングで供養の儀式がありますが、お坊さんが執り行う法要も追善供養です。さらに日頃私達が行うお墓参りや仏壇へのお参りも追善供養なのです。
追善供養の意味
追善供養の中心的な儀式は「法要」と呼ばれ、故人の冥福を祈るために僧侶が行う儀式です。法要の中でも「四十九日法要」などが特に大切にされ故人が仏の国へ旅立つ日と認識されています。しかし初七日や四十九日だけではなく故人が亡くなってから七日ごとに法要があり、その四十九日間の間の供養を中陰法要といいます。この忌中とも呼ばれる期間は故人の次の行先が決まらず不安定なので法要で魂を鎮めます。これも追善供養です。
四十九日後にさらに、春と秋に行われる「彼岸会」や、新年の「施餓鬼供養」など、故人やご先祖様を供養するための行事が多く存在します。そしてこれらの行事では、読経や焼香を通して故人の安寧を祈ります。そして一周忌、三周忌、、、四十九年目に五十回忌という毎回の年忌法要に続きます。以下は年忌法要を執り行う日です。
一周忌(亡くなって1年目の命日)
三回忌(亡くなって2年目の命日)
七回忌(亡くなって6年目の命日)
十三回忌(亡くなって12年目の命日)
十七回忌(亡くなって16年目の命日)
二十三回忌(亡くなって22年目の命日)
二十七回忌(亡くなって26年目の命日)
三十三回忌(亡くなって32年目の命日)
五十回忌(亡くなって49年目の命日)
このような決まった日に行う定例の儀式は全て追善供養の意味合いとなりますが、さらに日常のお墓参りや仏壇へのお参りなど、故人の成仏や冥福を祈る、あるいは墓前に向かって語りかけたり線香をあげて花をたむけたりする行為も追善供養と言えます。
追善と回向について
追善は故人の冥福を祈る行為であり、生きる者の善行が故人の冥福に繋がるという考え方があります。自分が善行することで徳を積み、故人が生前に積んだ善に回し向けられて追加されます。例えて言うと生きている人が立派な行いをすると、故人の良い行いとしてカウントされ、より良い世界に生まれ変わることの応援になるわけです。さらにその善行は自分自身にも良いこととして返ってくると考えられています。
又、仏事(読教など)で積んだ徳で他の者も一緒に極楽浄土に行こうというのが回向(えこう)という概念です。回向(えこう)は、仏事によって得た自分の徳(≒ご利益)を他者にも分配することを意味します。追善は故人に対して生きている人が行う行為なので、回向の他者を故人と捉えることで、自分の徳を他人ではなく故人に回し向けることになり、重なる概念で追善回向という言い方をする場合があります。
但し浄土真宗では善行による供養の教えがなく、即身成仏という阿弥陀如来からの一方的な回向(他力本願)により成仏できるという点で大きく考え方が異なります。
日常にある追善供養の心得
故人が成仏できますようにとお祈りをすることが追善供養です。あらためて考えるまでもなく日常的に私たちは追善供養を実行しています。
もしご先祖さまへの感謝や故人への祈りを怠っているなと感じたなら、故人と自分自身の為にも、お墓参りに行ったり、仏壇に線香を上げてください。その小さな積み重ねが、大きな徳の和を広げていく事になります。
故人を忘れず想いを絶やさないことが追善供養の基本です。少しの気持ちの持ちようで善は自分に返ってくることを心に止めて、是非とも日常の生活に生かしてみて下さい。きっとより豊かな心で過ごせることと思います。