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宗派別にみる位牌の閉眼供養とは

閉眼供養(へいげんくよう)とは、宿っている魂を続教によって抜く儀式のことで、同じ意味でお性根抜き(おしょうねぬき)や撥遣供養(はっけんくよう)とも呼ばれます。主にご本尊、お墓、位牌などに対して行われます。

閉眼供養は、故人の魂を安らかに送り出すための大切な儀式です。最近では世代の移り変わりで田舎のお墓の供養を継続することが難しくなって、墓仕舞いや墓の引っ越しをする人が急激に増えています。仏壇や位牌も同じように次世代への引き継ぎが困難で、お寺に魂抜きの依頼をする人が増えているそうです。

しかし魂抜きの儀式など日常的にはあまり馴染みがないものですし、田舎の菩提寺にも相談できない状況の方も多くて、「閉眼供養」をどのように行えばよいのか分からない方も多いと思います。また日本には多様な宗派が存在し、それぞれ独自の教義があって、どのお寺や神社に依頼すれば良いのか?近くのお寺でも受けて下さるのか?いろいろな疑問や不安をお持ちだと思います。

この記事では、位牌の閉眼供養に関する基本知識から具体的な流れを理解して、浄土宗、真言宗、曹洞宗、浄土真宗といった仏教各宗派が持つ特徴と、それに伴う供養方法の違いを紹介します。各宗派間の違いを知ることで、自身の宗派の伝統を尊重しながら、適切な供養を行う手助けとなるでしょう。

位牌の閉眼供養の基本知識

位牌は、僧侶の読教によって故人の魂を宿し、依り代(よりしろ)という祈りの対象になっています。これを開眼供養(かいげんくよう)と言います。

閉眼供養(へいげんくよう)とは、その宿されている故人の魂を位牌から抜く儀式のことを言います

閉眼供養とは何か

閉眼供養とは、位牌に宿った故人の魂を抜いて天界に見送るための供養儀式を指します。この供養は魂を宿す礼拝対象を、モノに還す儀式で、動かすときや処分するときにも行います。

つまり魂を入れたままでは粗末な扱いになるので、その前に魂を抜くのです。閉眼供養を行うことで、故人の魂を無事に成仏させ、家族にとっても精神的な区切りをつける一助となります。

一般的な位牌供養の流れ

位牌供養の一般的な流れは、まず寺院の僧侶をお招きし位牌の前で読経を行ない、戒名を読み上げて、故人の安寧と成仏を願う経典が唱えられます。法要を通じて仏教の教えを再確認し、供養を祈る人々が故人に思いを寄せることで、閉眼供養は完成します。

宗派別にみる位牌の閉眼供養方法

位牌の閉眼供養は、仏教の各宗派によって方法や考え方が異なるものです。閉眼供養は位牌を役割から解放する儀式ですが、その形式や儀式の進行は宗派ごとに独自の風習や考え方に基づいて行われます。

仏教各宗派の特徴と供養方法

日本における仏教の宗派は多岐にわたり、各宗派の教義や儀式は異なります。この違いは位牌の閉眼供養にも反映され、それぞれ独自の方法と意義が存在します。ここでは特に三大宗派である浄土宗、真言宗、曹洞宗についてと、浄土真宗の例外的な特徴と供養方法を紹介します。

1. 浄土宗の閉眼供養

浄土宗では、阿弥陀仏の慈悲を強調し、往生を願う教義が特徴です。そのため、位牌の閉眼供養では、「南無阿弥陀仏」の念仏を唱えながら儀式を執り行います。浄土宗の閉眼供養は、故人が阿弥陀仏の導きによって極楽浄土に往生することを祈念します。僧侶による読経と焼香が中心となります。

2. 真言宗の閉眼供養

真言宗は密教の一派で、難解な経典やマントラを用いて供養を行います。閉眼供養においても、真言を唱えることが重要視されます。真言宗では、大日如来を本尊とし、その力によって故人の魂が安定するよう祈ります。実際の儀式では、護摩(ごま)と呼ばれる火を焚く儀礼を行うことが多く、燃え上がる炎によって霊を浄化し導くとされます。

3. 曹洞宗の閉眼供養

曹洞宗は座禅と仏教的な修行を根幹とする宗派です。閉眼供養もまた、静寂と修行の中で故人を供養する意味合いが強調されます。僧侶が行う読経や礼拝に加え、家族や参列者が一緒に座禅を組むこともあります。経文としては「般若心経」がよく用いられ、これにより故人の仏教的な覚醒を期します。

. 浄土真宗の閉眼供養

浄土真宗には「魂が宿る」という概念が無く、人は亡くなるとすぐに成仏するという「即身成仏」という考え方をします。よって魂抜きの儀式も有りません。同様のものが「遷座法要」という儀式で、例えば仏壇を移動するときに「ご本尊の仏様に移動して頂く」という解釈で行います。位牌に関しては、そもそも魂の依り代(よりしろ)という概念が無いので使いません。葬儀のときの白木位牌などがあっても、法名と呼ばれる戒名にあたるものを過去帳に書き写して、白木位牌はそのままお焚き上げします。

宗派の違うお寺でも魂抜きは可能か

そもそも菩提寺と疎遠になり、依頼できないという問題から発展しますが、この宗派問題に関して多くの方が疑問に思われています。宗派が違えば考え方もお経の内容も全く異なりますし、当然同じ宗派や系統のお寺でないと魂抜きの依頼は「できないもの」「いけないもの」だと思われている方が多いです。しかし仏教の全宗派の概念は共通であり目的も同じ「成仏すること」です。そして一部の例外を除いて、魂は極楽浄土に向かうために転生を繰り返して存在するという考え方(概念)です。

ですから魂抜きの儀式(閉眼供養、お性根抜き、抜魂式)も作法は違えど宗派を超えて同じ概念の中で作用させることは可能だと言われます。故人やご先祖様の魂を粗末に扱わないための「同じ宗派で行うべき」という考え方は、実は供養する側の気持ち次第なのです。宗派の異なるお坊様でも、受け入れて頂けるのであればあとは供養する側の生きているあなたの気落ち次第、こだわり次第ということになります。

実際に厳格なこだわりを持って魂抜きの宗派を揃える方は少なくなっているのが現実であり、お寺も柔軟に対応してくれるところがほとんどです。近くのお寺でも受け入れてくれるはずですので気軽に相談されてみてはいかがでしょうか。

逆に宗派を揃えるがために負担(手間やお金)がかかるようでしたら、少し楽に考えられても良いかと思います。菩提寺に依頼することが大前提ですが、それができない家が増えているという現実に対して、柔軟に対応できない縛りや慣習があるとすれば、信仰の自由が束縛されることになってしまうのです。

「宗派を揃えて供養しないと罰が当たりますよ」という勧誘もあるそうですが、ご法事などは除いて閉眼供養(魂抜き)に関してはそこまで厳しくはないですよ、供養する側のこだわり次第です、というのが今時のお寺の一般的によく聞くアドバイスです。


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