墓じまいの基本知識とスムーズな進め方
墓じまいは、近年増加している家庭の重要な課題の一つです。祖先のお墓を現代のニーズに合わせて整理し、お骨を引っ越すプロセスは、多くの人にとって複雑で負担と感じられるかもしれません。本記事では、墓じまいの基本知識から始め、なぜ多くの人々が墓じまいを決断するのか、その理由を探ります。また、墓じまいにかかる費用や具体的な手続きの流れ、必要な書類の準備方法、役所との連携方法についても詳しく解説します。さらに、業者の選び方や供養と遺骨の取り扱い、トラブルを避けるためのアドバイスもカバーします。これらの情報を通じて、読者は墓じまいをスムーズに進めるための具体的なステップとポイントを学ぶことができ、心の負担を軽減し、円滑に手続きを進めることが可能となるでしょう。この記事は、墓じまいを考えるすべての方々にとって、非常に役立つガイドとなるはずです。
墓じまいの基本知識
墓じまいとは、古くから続く家のお墓を閉じ、納めている遺骨を別の場所に移すことを指しますが、正確には引っ越しの場合は改葬と言い、お墓を更地に戻すことを墓じまいと呼びます。広義では墓じまいがすべての工程を含んで使われている言葉になってきています。 墓じまいの件数は毎年増加傾向ですが、これには少子化や家族の形態の変化、都市化の進行など、多くの社会的要因が絡んでいます。墓じまいの具体的な手順や費用についても知ることで、スムーズに進めることができます。ここでは、墓じまいの基本知識について詳しく説明します。
墓じまいとは何か
墓じまいは、既存のお墓を撤去し、そこに埋葬されている遺骨を別の場所に移動する手続きであ、お墓の石を撤去して更地に戻すことも必要です。骨の移動先は、新しい墓地や納骨堂、場合によっては散骨など多岐に渡ります。墓じまいをする理由はさまざまで、例えば、遠方にあってお参りが難しいといった物理的な要因から、管理を継承する人がいないなどの家庭の事情までさまざまです。墓じまいは、お墓を撤去して更地に戻すことだけではなく、お寺や霊園と区切りをつけ行政申請も含めたお骨の引っ越しの一連の手続きを経て、先祖代々の供養の方式を変更し新しい生活を始めるための活動であるべきです。引っ越しが目的ではなく、あくまで供養の形態を今のライフスタイルにマッチさせ、生きている人にとってより良くなっていくことに意味があります。
墓じまいを行う理由
墓じまいを行う理由には、主に次のようなものがあります。まずは物理的な要因として、墓地の老朽化や、都市部での土地の有効利用が挙げられます。一方、社会的要因としては、子どもが少なくなり墓の管理をする人がいなくなることや、家族の核家族化が背景にあります。さらに、墓地が遠方にあってお参りが困難なことや、後継者問題などの家族内の事情も影響します。
墓じまいにかかる費用
墓じまいにかかる費用は、墓地の規模や場所、撤去作業の内容により異なります。一般的には、小さいお墓ですと20万円から、大きいお墓ですと200万円以上の費用がかかります。この中には、墓石の撤去費用や更地に戻す石屋さんへの工事の施工費は含まれますが、新しく遺骨を埋葬するための場所の購入費用、引っ越し費用などは含まれないことがあります。また、手続き関連の費用として書類の取得費用や供養費も考慮する必要があります。また寺院墓地の場合には菩提寺のお墓を仕舞うということは、檀家を抜ける(離檀)ということもありますので、その抜けるための(ときの)料金を請求されることもあります。ほとんどの場合には離檀料を払うような契約をされている方はいないため、要求されてもそのまま支払わずに事情の分かる方にまずは相談されることをお勧めします。たいていの場合には、お世話になったお寺に対して感謝の意を込めた謝礼金を相場程度に抑めることが必要かと思われます。何百万円も請求されているケースもありますが冷静に判断すべきところです。※離檀料という契約内の支払い費用には一般的には有りませんので注意下さい。
費用を見積もる際は、内訳を詳しく確認し、不明点を事前に業者や霊園管理者に問い合わせて、何をするためには誰が必要で、総合的に各見積もりを足しあげることが必要です。
墓じまいは、一度行うと後戻りが難しいため、十分な準備と慎重な計画が必要です。家族や親族との相談を重ね、納得のいく形で進めることが成功の鍵となります。また、法的な手続きも絡むため、専門業者や自治体のサポートをうまく活用しましょう。墓じまいの基本を理解することで、スムーズに手続きを進める手助けとなります。そしてすべてを自分で行おうとせず、全体を俯瞰できる専門家の意見を聞くことが重要です。
墓じまいの手続き
墓じまいとは、先祖代々の墓を閉じることを指し、その手続きは複数のステップを踏む必要があります。この章では、墓じまいを実行する際に必要な書類や準備、具体的な手続きの流れ、そして役所との関わり方について詳しく説明します。
必要な書類と準備
墓じまいを進めるにあたり、準備する書類がいくつかあります。まず「改葬許可証」が必要です。
改葬許可証は移転元、つまり今のお墓がある役所に発行してもらいます。通常お墓の中には複数のお骨が入っていますが、遺骨の数だけ改葬許可証が必要ですのでご注意ください。足りないと全員分の骨の引っ越しが出来ません。お墓じまいとは骨の引っ越しであり、転出届や転入届を申請するイメージです。
まず移転先のお墓の管理者に「受入証明書」を発行してもらいます。次に、移転元のお墓の役所から「改葬許可申請書」をもらって故人(お骨)の情報等を記入し、「埋蔵証明書」を発行してもらいます。そして揃えた3つの書類「受入証明書」「埋蔵証明書」「改葬許可申請書」を移転元の役所に提出して「改葬許可証」を発行してもらいます。
これらの申請は全て郵送でやり取りできます。移転元も移転先も役場に足を運ぶことなく申請が可能です。申請書や指定のフォーマットは、役所のホームページからプリントできますので便利です。申請自体の費用は改葬許可証の発行までで1セット数千円で足ります。
次に、墓じまいを依頼する業者を選ぶ必要があります。通常、寺院墓地や霊園のお墓の施工は指定業者と呼ばれるお墓の工事を選任で任されている石材店や墓石の業者にしか依頼ができない仕組みですので、その中でアイミツをとって契約書のひな形や概算の見積書も準備します。こうした書類は、作業内容や費用を明確にし、不測のトラブルを避けるために重要です。お墓の工事は明細の料金の基準がとても曖昧で、依頼先によって大きく差が出ます。よってできるなら指定業者以外からも見積もりを取ってなるべく一般的な工事費用を見積もる努力をするべきです。なお指定業者以外がお墓の場所に立ち入ることさえ禁止されているのが通常ですので、お墓の管理者、運営者、所有者に確認をとりなんとか許可をもらうことが必要です。※一般的な相場や他社の見積金額を参考にしたいのでとお願いしてみてください。
公営の墓地の場合には、指定業者以外も立ち入り可能ですので、幅広い声掛けで、アイミツを取ることができます。
さらに、墓じまいの進行を円滑にするため、家族間での話し合いを事前に行い、全員が納得する形で手続きを進めることも忘れてはなりません。
手続きの流れ
具体的な手続きの流れは以下の通りです。
まず、現墓地の管理者に墓じまいの意向を伝え、必要な手続きを確認します。その後、「改葬許可証」を市町村役場で申請します。
改葬許可証が発行された後、次にお墓の管理者(寺院、霊園、或いは直に石屋さん(石材店や墓石業者))と契約し具体的な墓じまいの日程を設定します。※役所の申請と同時に進めても問題有りません。但し許可証が発行される前に工事を行うことはできません。
墓石の撤去作業が終われば、遺骨を新しい墓地や納骨堂に移動します。移動の際には、供養の儀式を行うことが一般的で、工事の日時を指定しお寺の僧侶を手配するとお墓の前まで来てくれます。
役所との関わり方
役所との関わり方は、墓じまいの手続きにおいて重要なポイントです。市町村役場での改葬許可証の申請手続きを進める必要があり、申請書には、故人の氏名や死亡年月日、旧墓地および新墓地の所在地などをに記入します。市区町村の役所のホームページから申請書フォーマットの紙をダウンロードしてプリントできます。
また、各自治体によっては必要書類や手続きが異なることがありますので、事前に役所の窓口や公式ウェブサイトで詳細を確認することが推奨されます。さらに、改葬許可証の発行には数日から数週間かかることがあり、計画的に申請することが大切です。
この申請書に記入する内容で特に難しいところは有りませんが、年月や所在地といった記録が不明なことがあります。記載内容で埋められないところがあるときは気軽に役所の担当に相談すると、解決方法を提案してくれるはずです。
役所とのやり取りの際には、丁寧な対応を心がけ、疑問点があれば遠慮なく相談する姿勢が求められます。そうすることで、スムーズに墓じまいの手続きを進めることができます。基本的に申請書の記入の内容は全く難しくありません。初心者でも問題なく完成できます。
墓じまいの進め方とポイント
墓じまいは、個人や家族の状況によって進め方やポイントが異なるため、充分な時間をかけて計画を立てていくことが重要です。以下に、墓じまいをスムーズに進めるための具体的なステップと、重要なポイントを詳しく説明します。
業者選びと注意点
墓じまいを行う際、多くの人は専門の業者に頼ることになります。墓じまい業者を選ぶ際には、以下のポイントに注意してください。
まず、墓じまいをビジネスにしたとき、いろいろな業種や階層のプレイヤーが絡んできています。とても複雑で表面的には分かりせん、消費者の立場で理解頂きたい構造を説明します。墓じまいという工事を行うのは石屋さんです。但し石屋さんにも階層があって、受注だけとる会社、手を動かす下請け、その中間と3層以上の構造です。上から手数料を取りますのでなるべく下層の確かな業者さんに依頼すると安くなります。但し、霊園や寺院墓地は決まった業者にしか立ち入れない制度があって指定業者のみが工事を請け負えるようになっています。手数料をとるか、値段が高く設定できる仕組みです。さらに仏壇屋、仏具屋、なども石材店と提携していますので、墓じまいの請負のフロントにいたりします。そしてインターネット上には、ネットで問い合わせを受けて全国の提携先の工事業者に見積や工事の依頼をするポータルサイトの業者がいます。この業者の動き全国の工事費用の相場が一律化していったという背景もあります。
だれに頼むことが結果良くなるかは個々にケースが異なります。まずは、信頼性が重視されますのでできる限りネットや口コミで評価や評判を確認し、多くの実績がある業者を選びましょう。その際、実際に担当者と話をして対応の良し悪しを確かめることも重要です。次に、見積もりを実際に取って下さい。無料で見積を取ってくれることが多いです。そのときには墓石の位置や墓石の〇〇家先祖代々の実物の全体の写真などを用意しておき大きさもタテヨコタカサで説明できるようにしておいてください。特にお墓が墓地全体のどの位置にあるか、道路からどれくら離れているかなどが具体的に説明できると現地見積のまえに電話口で概算の見積を聞くことができます。この段階で費用が不明瞭な業者は避け、詳細な内訳や費用算出の考え方を確認することが必要です。
地域によって墓じまいの手続きや費用が異なるため、地元の霊園や自治体に詳しい業者を選ぶことも大切です。一部の業者は、最初は低価格を提示し、後から追加費用を請求する場合があるので、契約書に記載されている内容を細かく確認しましょう。
供養と遺骨の扱い
墓じまいでは、既存のお墓から遺骨を取り出し供養する必要があります。この際の供養の方法は宗教や地域の風習によって異なりますが、一般的には僧侶や宗教者による供養が行われます。特に重要なのは、遺骨を丁寧に扱うことです。遺骨を新しい安置場所に移す際には、遺族の意向や宗教的な儀式を尊重しながら進めることが求められます。
お墓から遺骨を取り出す際に、たまに埋蔵許可よりもたくさんお骨が出てくることがあります。昔のお墓の場合は特に多いです。その場合は施工している石材店に相談してみてください。骨の扱いに関してと役所への届に関してノウハウがあるはずです。
遺骨の移転先についても事前に十分に検討することが重要です。新しいお墓、納骨堂、自然葬など、遺族と相談しながら最適な方法を選びましょう。遺骨の取り扱いに関しては、各自治体で異なる規則があるため、事前に確認しておくことが不可欠です。
トラブル回避のためのアドバイス
墓じまいを進める上でトラブルを回避するためには、細かい計画と関係者との事前の合意が重要です。まず、家族や親族全員で墓じまいの意向を共有し、合意を得ることから始めましょう。意見の相違がある場合でも、話し合いを重ねることで協力関係を築くことが大切です。
次に、手続きや準備を進める際には、できるだけ詳しい情報を集め、誤解が生じないようにすることです。専門家の全体のコディネートを業者に任せてしまうことも可能ですし、自分で行う場合には業者や役所との打ち合わせは綿密に行い、必要な書類や手続きについてしっかりと確認しましょう。また、費用の問題や手続きの遅延といったトラブルに備えて、予備費を用意しておくことも賢明です。全体的な流れのすべてを任せてしまうやり方でもそれほど費用は変わらなかったりします。なぜなら個々の業者の依頼すると高い料金設定ですが、まとめると一律に下がる傾向があります。トラブル回避の観点からもお勧めです。
最後に、予期せぬトラブルが発生した場合の対策も考えて、事前に相談できる専門家や弁護士を見つけておくと、万が一の際に迅速に対応できます。重要なのは、適切な正しい専門的な情報を入手しつつ、自分ができない部分は代行してくれる信頼のおける業者に任せることで、円滑な墓じまいができるように努めることです。