位牌を自分で処分する方法について。依頼先・閉眼供養について解説。
仏壇の中に安置してあるお位牌ですが、どのような方法で処分すれば良いかご存じでしょうか。
通常、お位牌には亡くなった方の魂が宿っているとされていて、まずは寺院の僧侶にその魂を抜いてもらう必要があります。
又、仏壇の上座にある大きなお位牌は先祖位牌といって先祖代々から受け継がれてきたもので、自分の代で処分するのだと思うと畏敬の念もあってなかなか踏ん切りもつかず、処分を躊躇してしまうものです。
しかし、位牌を処分することは正しい方法を取れば決して罰当たりな行為ではありません。間違った情報にとらわれずに、必要に応じて「お位牌の役目を終えてもらう」意味での処分を進めて下さい。この章では、お位牌の適切な処分方法についてご紹介します。
位牌を処分するタイミング
位牌が処分されるのは、一般的に以下のようなタイミングがあります。
①位牌の作り変えによって処分されるとき。
四十九日までの仮位牌は本位牌に引き継いで魂を抜いた後は処分となります。
本位牌も経年劣化や壊れてしまえば新しいもに作り替えられ、古いものは諸部されます。
②弔い上げされて、魂を先祖位牌に統合されたとき。
弔い上げとは、最後の法事(年忌法要)のことを呼びます。故人一人だけの供養を終わりにして先祖代々のお位牌に統合し、故人の供養ではなく先祖供養として継続すると決めたとき、弔い上げとなります。亡くなってから30年とか50年経つと、修行も積んで仏様にだいぶ近着いているから、そろそろご先祖様と一緒になってもらいましょうというストーリーです。
弔い上げを行ったあとは魂をご先祖の位牌に移し換えますので、故人の魂が抜けた今までの位牌は処分することになります。
③仏壇仕舞いのとき。
引っ越しや子供が仏壇を引取る場合、置くスペースがなくて仏壇を処分するしかなくて、その時に一緒に位牌も処分されることが多いです。仕事の都合で地元から離れてしまう場合などは、菩提寺から遠く離れてしまうことなどから、世代の移り変わりと同時に墓じまいと位牌処分を検討し始めることになります。
④管理を引き継ぐ世代がいなくなったとき。
仏壇を引き取ってもらえなかったり、次世代に男の子がいない場合には家系の継承は止まってしまいます。そのような流れが決定的な場合には、自分が代々の位牌を処分しなければならないという検討が始まります。
位牌の適切な処分方法は?
位牌の処分の方法としては、「お焚き上げ」と「永代供養」という2つの方法があります。
お焚き上げ
位牌を処分する方法の1つが、焼却して灰にして宿っていた魂を天に還す供養である「お焚き上げ」です。魂抜きを行って魂を抜いた状態でお焚き上げで焼却します。位牌は、故人の魂が入っていた依り代ですので最後はお焚き上げを行うのが一般的です。
ただし、もともと開眼供養(かいげんくよう)と呼ばれる魂入れの儀式を執り行っていない場合は、閉眼供養を行わずにお焚き上げしても問題ありません。
お焚き上げの料金の目安は、10,000円~50,000円程度です。お寺や専門業者など依頼先によって費用は異なるので事前に調べておくことをお勧めします。
永代供養
永代供養とは、位牌をお寺や霊園に預けて家族に代わって永続的に供養をしてもらう方法です。たいていの場合は預かる期間が定められていることが多く、三十三回忌や五十回忌など弔い上げをしたタイミングで合祀されお焚き上げされるのが一般的です。
位牌の閉眼供養とは
位牌を処分する際には寺院で閉眼供養(閉眼供養)という儀式を行う必要があります。宗派によって「抜根式」「脱魂式」など名称が変わることがあります。
閉眼供養の意味
閉眼供養とは、位牌から故人の魂を抜く儀式です。お寺の僧侶によって行われます。ただし、浄土真宗の場合は「故人の魂が宿る」という概念がありませんので閉眼供養は行いません。かわりに「遷座法要(せんざほうよう)」「遷仏法要(せんぶつほうよう)」と呼ばれる儀式があり、仏様に移動して頂くという意味があります。
閉眼供養の方法と費用
閉眼供養は、菩提寺に依頼するのが一般的です。僧侶に読経をお願いして魂抜きの儀式をしてもらいます。料金は、供養してもらったお礼としてお布施代として渡します。お布施の金額には地域差がありますが、閉眼供養の場合はお焚き上げまでの費用が含まれていることが多く、目安は30,000円~50,000円程度です。また、供養は寺院でしかできませんが、仲介して処分まで一括して行ってくれる業者もいます。もし菩提寺に持っていけない場合には、お位牌のお焚き上げ専門業者や仏壇仏具店に相談してみてもよいでしょう。費用は5,000円から30,000円と直接お寺に頼むより少し予算は下げられます。
位牌の処分を依頼する先の特徴
寺院
正式に処分する方法は、菩提寺で閉眼供養をしてそのままお焚き上げしてもらうやり方です。但し供養はするがお焚き上げはできないので自分で処分して下さいを言われることが多くなってきました。消防法や迷惑条例の関係で、一部のお寺以外は、お寺の敷地内でお焚き上げが出来なくなったことが原因です。お寺に依頼した場合のお布施の目安は10,000円~100,000円です。お焚き上げのみの場合のお布施の目安は10,000円程度ですが、お布施の金額が分からない場合はお寺に直接確認しても失礼には当たりませんので「皆さんはどれくらい包まれますか?」と尋ねてみることをおすすめします。
又魂抜きのお寺を選ぶ際に宗派が違うので依頼先が限定され結局依頼ができないままになっている方が多いです。出来れば宗派は揃えられるのが良いのですが、法事などと違って、魂抜きの読教とお焚き上げ供養の場合には、宗派が異なっていても違反行為ではありません。お寺側も魂抜きならどの宗派の戒名でも供養できます、というスタンスのところが多数です。よって閉眼供養の場合には、必ずしも宗派を揃える必要は有りません。
仏具店・葬儀社
位牌を新しいものに作り替える場合は新しい位牌を仏具店に注文します。新しいお位牌ができたあと、お寺で魂の移動を行って、魂の抜けた古い位牌は仏具屋がそのまま引き取ってくれるところも多いので確認してみてください。有料で依頼する場合の費用の目安は1柱につき数千円~10,000円です。
葬儀社でも位牌の処分を行っています。葬儀を行ってもらった葬儀社であれば、通常は無料で引き取ってくれます。料金がかかるとしても数千円で済むところがほとんどです。
白木のお位牌を本位牌に作り替えるときには、白木位牌を用意してくれた葬儀社が引き取ってくれる場合が多いので依頼してみてください。
お焚き上げ業者・遺品整理業者
お焚き上げの専門業者は、供養からお焚き上げまで一括で行ってくれます。最近ではインターネットで注文できるところが多くなり郵送で受け付けてくれます。お焚き上げが完了すると供養を行ったお寺の供養証明書や完了通知が無料で届くところが多いです。料金の目安は1柱につき3,000円~10,000円程度です。
遺品整理業者に依頼する場合は、お位牌を遺品と一緒に引き取ってくれます。但し魂抜きをお寺に依頼してきちんと供養できる業者かどうかの確認が必要です。供養は寺院でしかできないので、明確にどこのお寺で供養してもらえるのかを確認してやり取りすると供養に対しての信頼性が図れます。料金は遺品全体の見積に含まれることが多いですが、目安は1柱3,000円~5,000円程度です。
位牌を処分する際の注意点
位牌を処分する際は必ず家族や親族全体の同意を得ておかないと、後々トラブルになる可能性があります。位牌が無くなること、供養の方法など、みな考え方はそれぞれで事前に相談すれば納得できることも、お焚き上げ後に知らされたりすると賛成しずらくなったりします。お寺などへの相談の前に必ず関係者には周知しておくほうが無難です。