≪位牌の処分≫郵送の手順と注意すべきポイント
大切な故人を祀るための位牌は、家族や親族にとって大切な存在です。もしも引っ越しやその他の事情から位牌を移動しなければならない状況が発生した場合は、不適切な取り扱いにならないように慎重な対応が求められます。
本記事では、位牌の処分を目的とした郵送の際の、具体的な郵送方法について詳しく解説します。さらに、郵送時に注意すべきポイントや追跡サービスの利用、配送業者の選び方などにも触れており、トラブルを未然に防ぐための情報が満載です。
位牌の郵送というデリケートな作業に際し、本記事を参考にして頂くことで、位牌郵送のトラブルを回避して供養先に安心して送り届けることができるようになります。
位牌の郵送の基礎知識
位牌は故人の霊を宿す存在であり、正しく取り扱うことはとても重要です。昔と違って現代のライフスタイルでは転勤や転職、住み替えによる引っ越しやその他の事情で位牌を移動させる必要が頻繁に生じます。ここでは、処分に限らず移動する時には必要な位牌の郵送の問題について考察します。
位牌の役割と課題
位牌は、故人の霊を慰めるために作られたもので、家庭では仏壇や厨子の中に置かれるのが一般的です。位牌には故人の戒名が刻まれ礼拝の対象となります。また、位牌は単なる物質的なものではなく、魂入れといって故人の魂が寺院の僧侶によって宿されています。そのため、移動などの際にはその信仰上の慣習に則り儀式を行ったうえで慎重に取り扱うことが求められます。仏壇から取り出す前と、新しい場所への安置時に、僧侶の魂の出し入れの法要を実施することは、引っ越しや仏壇の買い替え等が昔と異なり頻繁な現代においてはとても大変なことです。
位牌の移動に伴う慣習について
位牌を移動する際には、僧侶に来てもらって「魂抜き」や「魂入れ」の儀式を行う理由は、魂を宿したまま移動することが良くないという考え方にあり、位牌から一時的に魂を抜き、移動後に再び魂を入れるという手法によって位牌が新しい場所にきちんと落ち着くとされています。
つまり仏壇のご本尊もそうなのですが位牌のような魂が宿るとされる礼拝対象は、移動することよりもその前後にお金と手間がかかるのです。
ところが最近ではそこまでせずとも、ある程度は柔軟に取り扱うことが許容されるようになってきています。(昔と違って気軽に依頼できないお寺との距離感の問題もあります。)
依頼できるお寺が近くに無くて魂を抜いてお焚き上げすることが難しいのに、その位牌を郵送する前に魂抜きをしなければならないこと自体が不合理なので、近年では「魂抜きの業者に郵送するサービス」が市民権を得てきています。つまり魂が入った状態のまま郵送して供養してもらうことが認められてきている、あるいは認めざる負えない状況になってきているとも言えます。
魂が宿る位牌の郵送について
魂が宿るとされる位牌の郵送には特別な配慮が必要ですが、送り先の専門業者のアドバイスを聞くことが最適です。例えば位牌をお焚き上げする場合の移動は宅急便などを使って届けます。位牌の取り扱い方や梱包方法については郵送の受付を専門とするお焚き上げ業者の指示で荷作りすれば心配はありません。
但しいくら丁寧に梱包しても、魂が宿っているという観点から、配送中の扱いが乱暴ではご先祖様に失礼ですから運搬にも注意が必要です。但し宅急便もサービスとしての品質は目覚ましく向上しているので、ゆうパックや大手の宅急便サービスを利用すれば位牌が大きく破損するようなトラブルは通常起こりません。
位牌、仏壇を引き受けない宅急便業者もいる
位牌や仏壇の引き受けを拒否する宅急便業者が存在します。例えばヤマト運輸では位牌を「取扱いできない商品」の「易損品」の対象にしています。つまり壊れやすくて運べないものに指定しています。https://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/customer/send/preparations/inability
宅急便業者は、取り扱いが難しい物品や宗教的な価値を持つ物品に関しては、荷物の破損や紛失のリスクを考慮し引き受けてくれない場合があって、位牌や仏壇のような宗教用品を郵送する際には送付状の記載内容に注意が必要です。送り状の品名欄には「位牌」ではなく、「木製品」や「仏具」と記載すれば、これから魂抜きをしてお焚き上げする前提のものですので郵送の依頼も問題ないと思われます。ちなみに郵便局のゆうパックは「お位牌」と書いても問題なく取り扱ってくれます。仏壇もゆうパックなら「品名 仏壇」として郵送可能です。
位牌郵送の具体的な手順
位牌の郵送は、慎重な計画と適切な手順を踏むことで、安全かつ確実に行うことができます。
本章では、位牌を郵送するための具体的な手順について詳しく説明します。まず送付先の確認、梱包方法と注意点、そして最後に配送業者の選び方と依頼手続きについて解説します。
送付先の確認と選定
送付先の確認と選定は、郵送がスムーズに行われるための重要なステップです。まず、送付先の住所を正確に確認してください。また、送り先の受け取り担当者が在宅している時間帯や、特定の日時を指定することも考慮に入れます。、送付先での保管場所や設置場所についても事前に確認し、適切な場所に保管してもらえるかどうかも依頼しておくと安心です。
梱包方法と注意点
位牌の梱包は、破損を防ぐために注意が必要です。まず、お位牌を白い紙で目隠しすると良いとされます。そして位牌を保護するためのクッション材(緩衝材)を用意し包むことが推奨されます。次に段ボール箱か袋に入れ、隙間に緩衝材を詰めて動きにくくします。さらに、段ボール箱の外側には「取扱注意」や「コワレモノ/割れ物」などの表示を明確に書いておくと、配送中に丁寧に扱ってもらうことができます。梱包が完成したら、送り状には位牌と書かずに木製品や仏具と書けば取り扱い上の問題が起こりません。
お位牌が小さい場合などはレターパック(A4サイズ)でも郵送が可能です。厚さ3cm以内の小さな位牌ならレターパックライト、クッションを巻いたりして厚さ3cm以上になる場合にはレターパックプラスを利用します。それぞれ全国一律で 370 円、520 円で全国どこからでも郵送できるので大変お得で便利です。しかも購入も発送場所もいろいろあって便利です。(レターパックは大手コンビニで購入が可能です。)https://www.post.japanpost.jp/service/letterpack
逆に白木のお位牌のような長い尺のものは箱に入れるとスカスカになって固定できないので、すっぽり入る袋タイプに入れると扱いやすいです。8寸(32センチ)の白木位牌も45センチの袋タイプのゆうパックで丁度入れることができます。このような適当な大きさの梱包材の見繕いは、郵便局なら適当な大きさの専用の郵送袋をいろいろ推奨してくれます。
いろいろなタイプの梱包方法があります。
位牌郵送時に注意すべきポイント
位牌の郵送は慎重を要する作業ですが、マナーとして基本をわきまえていればどこまで丁寧に梱包を行うかは気持ち次第です。
次に梱包が終わったあとの郵送に際して特に留意すべき項目について説明します。
送付方法について
郵送には送料の支払い方法によって3種類あります。発払い、着払い、代引きでそれぞれに送付状と言われる伝票が用意されています。通常供養先や寺院に位牌を郵送する場合は、送料を利用者(送り主)が負担する発払い(元払い)が一般的です。
日本郵便のスマホ公式アプリを使って簡単に宛名ラベルを作成することができます。アプリから送り先を入力しておいて、郵便局に設置されている専用プリンター(ゆうプリタッチ)からラベルを簡単に印刷することもできます。
追跡サービス(配達状況)について
位牌は処分するまでは唯一無二の大切な魂ですから、追跡サービスを利用できる前提で進めることをお勧めします。追跡サービス(配達状況)は位牌が現在どこにあるのかをリアルタイムで確認できますし、予期せぬトラブルが発生した場合にも早急に対応することが可能となります。さらに、受取側にとっても安心感を提供することができます。
無事にお位牌が先方に届くまでは、追跡番号や送付状番号の控えを失くさないようにしましょう。
到着指定日について
供養する先(寺院や業者)が位牌の受け取りの日程を指定してきた場合や、こちらから到着日を連絡する場合には、送付状に明確に配達希望日を記載する必要があります。ゆうパックなら配達予定日から10日以内の日を指定して配達してもらえます。但し希望日が無い場合には記入なしで問題有りません。通常は配達希望日を配達予定日にしておくと、空欄の荷物よりも予定日に確実に届けられるようです。(シーズンや地域差もあります)
受け取り後の確認と対応
位牌が無事に届いた後の確認と対応が重要です。供養を依頼する先には位牌が配送中に損傷していないかなど、無事に受け取ったことの連絡がもらえるかどうかは先に確認しておきましょう。供養完了まで連絡がない仕組みの場合は、まず到着時の連絡がもらえるように依頼しておくと安心です。
位牌は故人を偲ぶ大切なものであり、その取り扱いには最後まで注意が必要です。供養側の受け取り後の確認や連絡が徹底されていれば、位牌を粗末に扱うことなく正しく供養されていることを安心して見守ることができます。
ここまでの注意点に留意すれば、「郵送という手段を利用して、寺院の僧侶に供養を行ってもらって、安全に役目を終えてもらうこと」がそれほど難しくなくできるはずです。お試しください。